早産児・NICU卒業生外来
早産児・NICU卒業生外来
早産児や低出生体重児、NICU退院後の児は母子手帳やネットに載っているような基準で発達・発育しないことがあります。
通常、発達や発育は修正月齢に合わせて判断していきますが、NICU退院後の児は通常のお子さんより個性の幅が広く、これで良いのか?と親御さんが不安になることも多くあります。
ここは早産であったり、NICU退院後であるために悩んでしまう親御さん方専用の相談外来です。
周産期新生児専門医がNICUで長く働いた経験を生かしてアドバイスさせていただきます。
体重、身長、頭囲の測定をする場合があります。
問診票を記載してお持ちください
オンライン診療もぜひご活用ください。
ゆったりゆっくりお話を聞かせていただくために
13時半から15時半のクリーンタイムでのご予約をお願いいたします。
へその緒が取れて赤ちゃん自身も大きな声で泣いて自己主張するようになった頃の、早産出身の赤ちゃんによく聞きます。(早産でなくてもよく起こります)
へそが出るというのは簡単にいうと、へそから風船のように脱腸してきて、腸がグシュグシュ触れる状態です。
生まれてすぐは臍の下の筋肉が完全に閉じていないので、大泣きしたりしてお腹に力がかかった時に、筋肉の間から腸が出てきてしまいます。
日ごとに大きく出るようになり、一体この後どうなるのかとても心配になるようなんですね。
圧迫法といって毎日綿球を貼り付けるやり方をする先生もいます。
一般的にはそっとしておいても、筋肉の発育とともに首の座る頃には小さな風船のように膨らんでいた臍ヘルニアはシワシワになってきて、遅くとも1歳までにはきちんとお腹に引っ込むと言われています。(自然に治る可能性は90%程度です)
圧迫法をすると早く良くなる、臍の皮膚の皺が残りにくい綺麗な形のヘソになると言われています。
1〜2歳を超えても臍ヘルニアが残る場合や、シワシワの皮膚のたるみが残っている場合は手術の可能性がありますので、主治医に聞いてみてもいいでしょうね。
綿球での圧迫法も正しく習わないと腸を挟んでしまうことがあるので、やり方は当院でご相談ください。
多くのママさんは『うなる』、『ウンチがしたくて、苦しそうにしている』、『寝ている間ずっとウーウー言ってる』などと表現します。
赤ちゃんは退院が近くなった頃から赤い顔をしてお腹に力を入れて、オヤジのようなうーうーと言う唸り声をあげてゴロゴロすることが増えます。
大抵、目はつぶっていて、半寝の状態のことが多いです。親御さんから見るととても苦しそうに見えることもあるようですね。実はこれは生理現象で、お腹が張って苦しいわけでも、ウンチがしたくて踏ん張っているわけでもありません。
早産児で男児に多いとも言われていますが、女児でも、正期産児でも時々認めます。
ウーウーと唸りながら力を入れるので、空気を飲みがちになってお腹が張ったり、力を入れて思わずおならやウンチがちびったりも多いのですが、それは唸ることが先で、後からそうなって来るんですね。
ネットには、ゲップが出ないから、とか、飲み過ぎとか、便秘とかいろいろ書かれていますが、それは後付けな理由で、浅い眠りの時に出る生理現象なので唸っている本人は苦しくもなんともないんです。
唸りながらも寝ているようなら、そっとしておいて大丈夫。
もちろん、気になってしまうようなら、抱っこしてトントンして落ち着かせて、赤ちゃんが深い眠りに入る手助けをしてあげてもいいでしょう。
ご不安な場合は唸っている動画をお持ちいただいて相談してくださいね。
予防接種や市区町村の乳幼児健診は、暦年齢で数えた日程で接種していくのが通常です。
体重がどのくらいになってから、発達がどのくらいになってからなどの規定はありません。予防接種は出生日から数えてどんどん進めましょう。
早産児だからといって予防接種の副反応が強く出るなどのことはありません。
一方で、早産児は母体からの免疫移行が少なく、早産児であるがゆえに感染症にかかりやすいなどのリスクがあります。
適切な時期にワクチンを受けることで予防できるものは予防してあげましょう。
健診の質問項目でお子さんにできることが少なかったり、学年が変わってしまうほどの早産であった場合、お友達とずいぶん発達に差があるように見えてしまいますが健診は必要です。
退院したNICUの医師からは修正月齢を目安に離乳食を開始するように言われることが多いです。
しかし、早産児の離乳食には医学的に一定の基準はありません。
お子さん個人の運動発達や精神発達、「食べるための発達」と言われる摂食への興味は特に個人差が大きく、修正月齢には沿わないことも多いです。
離乳食開始の目安は、以下の4つが参考になります。
このような様子が早産児では修正5〜6か月のことが多いため、修正月齢を目安に離乳食を開始しましょうと指導されます。
しかし、お子さんの発達はみんな同じようには進みません。
特に妊娠後期には、お母さんの栄養が赤ちゃんに急速に移行しますが、早産だとその栄養を十分に受け取る前に生まれてしまうため、赤ちゃんが授乳や食事として自分の口から摂取しなければなりません。
早産のお母さんから出る母乳は早産児用の栄養の濃い母乳が分泌されます。しかし、離乳食が始まる頃のお子さんはそれ以上に著しく成長するため、タンパク質、亜鉛、鉄分が不足しがちです。
離乳食の進め方でお悩みの際には、ぜひ相談してみてください。
シナジスとはRSウイルス感染重症化予防のための抗体の注射のことです。早産児のワクチンのようなものとお考えいただいても良いでしょう。
RSウイルスには人生で何度も罹患します。RSウイルスに自然に何度も罹患した年長児や大人は軽い風邪または無症状で済みますが、人生で一番初めに罹患するときは咳やゼーゼーが長引きやすくそれなりに辛いものです。
さらに早産や先天性疾患のお子さんはRSウイルスで重症化し入院するリスクも多いと言われており、シナジスの投与でRSウイルスの重症化を防ぐことが保険適応となっております。
当院ではNICUでたくさんの早産児を診てきた周産期新生児専門医が接種を行います。
シナジスは以下の要件のいずれかを満たすお子さんについて保険適用となります。
適用
早産児
在胎期間28週以下で、接種開始時の月齢が12か月以下
在胎期間29週~35週で、接種開始時に6か月以下
上記基準に当てはまるお子さんにはシナジスの接種が推奨されています。
RSウイルスの感染状況を基に、期間中に毎月1回接種していきます。
接種にはシナジスが必要な旨の紹介状(NICUやGCU、ご出産した病院などから)が必要になりますので、ご注意ください。